2018年10月03日

Sさんへの書簡

秋冷の候、貴台におかれましては、益々ご清栄のことと拝察いたします。
過日は合宿にご参加頂き心から厚く御礼申し上げます。
又、心の籠った品を頂戴いたし恐縮に存じております。更には合氣武術などについて、様々な意見交流をさせて頂きましたこと御礼申し上げます。
私共の会員には、藤平光一先生の誦句集とともに、中村天風師の心身統一法、原始佛教、安岡正篤師の陽明学の教えなど、人間としての在り方、生き方を説いております。
「何のために生れてきたのか、何のために生きているのか…」この根本原理について理解することが最初となります。その上にたって、「心が體を動かす原理」「氣の原理」を学び理解することが求められるのであります。そして心身統一合氣道の理念は「争わざるの理」、目的は「自らの人格をつくる」ことに帰着いたします。
私の合氣道は、決して力で相手を崩したり、投げたりは致しません。そのためには、自らが完全なリラックスに同調する、そして相手を力で掴まない、軽く触れる、そして相手の心・氣を導くのです。すなわち行きたいところに行かせてあげるのです、行きたいところとは何か、天と地です。人は死ぬと體は地に戻り、エーテル体は天(宇宙の彼方に)に。宇宙の氣から生じた私達は又宇宙に戻ります。その意味は、相手の氣を真上真下(天と地)に導くのです。護手と攻手はその意味で基本技を用いて表武するのです。崩され投げられた攻手は、護手からではなく、何故、崩されたのか分からないまま自らが崩れるのです、ここには、護手と攻手と間には何の思惑もないのであります。相手に攻撃を仕掛けた者がひとりで打ちこんで、ひとりで崩れて転がっている…。ここに「争わざるの理」の一片があるのです。すなわち、「我即宇宙」「我舞えば宇宙舞う」「合氣は愛」という言葉が生まれるのです。
私は、生きていく上においての真理を求めています。それは「悟りを求める心」を発することが重要と考えます。真理の教えを聞いて「歓喜の心を生ずること」すなわち悟りを求める心は、人間にとって真実の喜びにつながると思っているのです。
慈悲心すなわち、四無量心の四つの心「慈・悲・喜・捨」は、計り知れない広大なものであり、これらがはたらきかける対象となる人々もまたはかり知れない(無量)ところから「四つのはかり知れない利他の心」と言われています。
この利他の心をもって、様々な苦しみや悩みを持っている人々を高いところから観るのではなく、苦しんでいる人々と同じ立場に立って共に苦悩し、共感して共に救いの岸を目指していく、という心のあり方を意味しているのです。このことを自らの心の原点にして、基本技を通じて自らの人格・品格の向上に邁進いたしております。
今後も機会がありますれば、お会いしたく存じますと共に、重ねてお礼申しあげます。                                  敬具
posted by 弘心 at 22:17| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする