2025年01月10日

たそがれ清兵衛

たそがれ清兵衛
 藤沢周平原作を映画化。山田洋次監督の作品。
監督  山田洋次
    朝間義隆
撮影  長沼六男
音楽  富田勲
出演 真田広之(井口清兵衛)、宮沢りえ(飯沼朋江)、小林捻侍(久坂長兵衛),
田中 泯(余呉善右衛門)
本作は、第76回(2004年)アカデミー賞(外国映画賞)にノミネートされました。
素晴らしい時代劇でした。特に、殺陣の場面がリアルに描かれていて、実際にはこのようなことになるのでは…と思わせるものでした。他の時代劇のように20人ほどの切られ役が自分から飛び込んでいるようなものではない。
又、出演者すべてが庄内弁を話していて、その発音も自然なものである。
江戸時代の最後(幕末)を表すような場面も見ていてよくわかる。
最後の場面、井口清右ヱ門が反逆者をうつことを藩命として受け入れて、余呉善右衛門との対決は、目をみはるものがある。余呉善右衛門を演じた田中 泯氏は舞踏家である。
その彼が死を意識しての決闘の場面に、舞踏家として死の表現を全身の動きに表していることに圧倒された。世界的有名な舞踏家田中 泯氏はこの作品で俳優デビューを果たした。
剣を極めた者同士が闘うということは、実際はこのような形になることを…ぎりぎりの形まで、表現した時代劇だと思う。
特に井口清兵衛の心の中にある「生きるとはいかなるものか」との思いが全身に表しての演技は心うつものがあった。権力も金も身分も、しきたりも、人間の生きていく上には本来は不必要。人として、人間として、いかに自然との営みに応じて生きていくことが出来るか、他の人の幸せのために自分の為すべきは何なのか、このことが一番大切なものであると…。
私がふるさとも何もかも棄てて、限界集落と云われるところに一人来た…。そして古い民家を潰して、小さな庵を建てて、山と畑を相手に自然と共に生きる決意をした…。
何故かこの映画の主人公に心惹かれるものがある…。
そして今、新たな多くの心友を得て、大切なものを手に入れた…。
生かされている意味を…。
posted by 弘心 at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする