2022年10月10日

言志四録

あらためて、「言志四録」を読む。
「少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず」
         (「言志四録」第六十条)
佐藤一斎の「言志四録」と言えば,「三学戒」の名言である。
とくに平成十三年五月、小泉首相が級育関連法案を衆議院で論議している中で述べてから、有名になった。
人間が学問し、精進し、更に学問を重ねれば、一生のそれぞれの季節で花が開くことを教えてくれる。学問の力をこれほど極端に表した言葉はない。
併し、「三学戒」の言葉を知っている人でも、その著作者である佐藤一斉を知っているかと問われたら、おそらく多くの人は、ノーと答えるだろう。
無理もない、かって小泉首相が、当時、外務大臣をしていた田中真紀子氏の、あまりなる言動を諫めるために、佐藤一斉の「重職心得箇条」をプレゼントしたことがあった。
このとき彼女は「こんな江戸時代のカビの生えた話など要らないわよ」と言い放ったそうだが、おそらく彼女は佐藤一斉のみならず「言志四録」など読んだこともなかったのであろう。
「言志四録」を一度でも読んでいれば、とてもじゃないが、こんなセリフは恥ずかしくて吐けないはずである。
何故ならば、この本は、志を立て、自分の運命を切り開き、世のため人のために尽くさんとするリーダーのためのバイブルと言われている本だからである。
子供たちが本を読まなくなったといわれてから久しいが、一国を代表する外務大臣がこのような無教養なのだから、子供たちを責めるわけにはいかない。それは子供が悪いわけではなく、現在の大人たちが本を読まなくなったということなのである。
今日の日本人の精神が、どこがひ弱になり、それとともに国家も社会元気が亡くなり、倫理・道徳は地に落ちたといわれる原因は、じつはこうしたバッグボーンを培って古典としての思想書が読み継がれなくなったからではないのか、と思っている。
正統なる日本人の精神文化が伝承されていないということは、
とりもなおさず、日本人が日本人であることを忘れてしまっているのである。
是非とも一度呼んでほしい一冊です。
posted by 弘心 at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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