ストレスがたまったなぁー、と思うと、ねっ転がって、
モーツアルトのレクイエム(二短調K、626)を聞きながら、
好きな本を読むこと。
クラシックが妙に肌にあう。「ロン・ティポ音楽祭」と
大阪の「ザ・シンフォニーホール」で出会ったのが始まりでした。
確かに絶対音感を持っている天才が、超感覚を通じて、
導き出される音階は、何か人間の持つ潜在心の
深層に潜んでいる意識と同調させる
不思議な力を持っているらしい。
大阪は豊中出身のバイオリン奏者がいる。
1987年生まれの21歳の女性。
モスクワで開催された「チャイコフスキー・コンクール」で
「チャイコフスキー・バイオリン協奏曲」で優勝。
この快挙は17年ぶり、日本人としては二人目。
日本でのツァーに密着してのTV番組に、引き込まれるように
聞き入った。
2007年8月、大阪の梅田芸術劇場での収録。
その演奏に引き込まれた。
力強い音の中に、計算された繊細な表現…。
特に體全体を使った演奏そして顔の表情が素晴らしい。
彼女が子供の頃に習った先生が「彼女は筋肉が強い…、
それが音を強く出している…」と。
私は少し違うと見ている。確かに上背がある。
「何故、強い音が出るのですか」との質問に、本人曰く、
「強く張った弓の弦と強く張った弦がぶつかると
音にはならない…」
だから「張りは標準です」と。
私は體の使い方が普通の人と違うと観る。
彼女の腕の使い方を見ていると、、上腕二頭筋、三頭筋は
あまり使っていない。
ではどうして、強い音が出せるのか。
腕全体の骨を使っている。
腕だけではなく、肩甲骨を上手く使っている。
即ち筋肉の力だけではなく、肩甲骨と腕の骨を用いて
弓の弦にダイレクトに重みを乗せているのである。
筋肉で押さえて出せる音ではない。
力の抜けた腕を通じて、「氣」が弦を振動させ、天地の氣を
さらに共鳴させている。
そのためには、腕の力が完全に抜けていなくてはならないことは
言うまでもない。
さらに無駄な力が完全に抜けた體全体が、バイオリンから
出る音をさらに共鳴させ、幅と奥行きのある音として、
聴衆を魅了する。
次に、質問があった。
「楽器によって音は変わりますか」
・ありません。すべて自分の音です。
「曲にあきることはありますか」
・飽きます。
「目標となる人はいますか」
・いません。同じになりたくありません。
「何故バイオリンを弾くのですか」
・私にもわかりません。しかし、直接結果が見える仕事では
ないことは分かっています。
実に明快な回答です。そして、21歳でこれだけの演奏が
出来ることは天才といわれる所以でしょう。
合氣武道を通じての見方ですが、通じるところは大いにあります。
特に體の遣い方、ものの考え方に共感するところこれまた大である。
十年後が楽しみの若手演奏家である。
「十年後はどうされていますか」
・幸せに暮していればよいですね。
2007年12月31日
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